現場で多い「年次有給休暇の5日義務化」のよくある勘違い!?

先日、厚生労働省から「令和2年就労条件総合調査 結果の概況」が公表されました。年次有給休暇についての調査結果(平成31年・令和元年(又は平成30会計年度)1年間の状況)のポイントは下記のとおりです。

・年間の労働者1人平均の付与日数「18.0日」、取得日数「10.1日」、取得率「56.3%」で「取得日数と取得率は過去最高(昭和59年以降)」

2019年4月からスタートした「年次有給休暇の年5日の取得義務化」が影響していると考えられますね。

調査結果を詳しくご覧になりたい方はこちら

厚生労働省「令和2年就労条件総合調査 結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/20/dl/gaiyou01.pdf

今回は、社労士として中小企業の現場でよくある「年次有給休暇の年5日の取得義務化」に関する勘違いを取り上げてみました。

あなたの会社は大丈夫でしょうか??

年5日の義務化の対象者は「正社員」だけじゃないの?

対象者は「10日以上の有給休暇が付与される方」とされています。正社員とは誰も言っていません。雇用形態などにかかわらず、パート・アルバイトの方でも対象となる可能性があるのでご注意ください。

法律どおりに有休を付与されている会社では、正社員の方はもちろん、「週3日以上+勤続5年半」や「週4日以上+勤続3年半」のパート・アルバイトの方も「10日以上の有給休暇が付与される方」となり義務化の対象となります。

毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間に5日間付与しないといけないの?

2019年4月1日以降に、「最初に10日以上付与された日」から1年間となりますので、入社日がバラバラであれば、それぞれ1年間の起算日は変わってきます。

例えば、2020年4月1日新卒入社で半年後の2020年10月1日に「10日付与」された場合は、「2020年10月1日~2021年9月30日」までの1年間で「5日間」付与する必要があります。

年次有給休暇を「入社日」ではなく、「基準日(例:毎年4月1日など)」で付与されている会社は、みなさん「基準日から1年間(例:毎年4月1日から翌年3月31日)」の1年間で「5日間」を付与していきます。

従業員数が少ない場合は、「入社日」で付与するケースが多いですが、従業員数が多い場合は、「入社日」ですと管理が複雑になるため、「基準日」に変更されるケースも多かったです。

え?「半日単位」で有給休暇を付与してもカウントしてくれるの?

5日間の義務化は、1日単位以外にも「半日単位」でも大丈夫です。

例:「半日単位(0.5日)」×10日間で「5日間」達成もありです。

「半日単位」だと何とかなるかも?という会社さんも多いです。

ただし、「時間単位」はカウントされませんのでご注意ください。

例:1時間×40回=5日間のように頑張っても努力は認めますが、カウントはされません。

「管理監督者」も年5日の義務の対象か?

中小企業では、人事部長などを「管理監督者」扱いとして、残業代などを支給しないケースも多いです。

「管理監督者」は「時間外・休日」などが適用除外となり、残業代や休日出勤の割増などの支払い義務はない(深夜割増は対象ですよ)ので、年次有給休暇の5日義務の対象外と勘違いされるケースもあります。

「管理監督者」こそ積極的に有給休暇を取得して頂き、部下の模範となって頂きたいです。

余談ですが、中小企業を支援していると課長職以上を「管理監督者」とされるケースも多いですが、否定される可能性が高いのでご注意ください。

※「管理監督者」とすれば、当然に残業代等が不要というわけではないのでご注意ください。詳細は、下記のリーフレットも参考になります。

厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/kanri.pdf

私は、現場では下記の3つの要件はクリアしないと「管理監督者」を否定される可能性が高いですよとアドバイスしています。

・出退勤が自由かどうか?遅刻・欠勤した場合に控除していないですか?

・給与は「管理監督者以外」の方より高いですか?

・人事権はありますか?

上記の3つをすべてクリアしないと、完全に否定されるわけではないのですが、「管理監督者」にされるかどうかの判断基準として意識してもらうようにしています。

さいごに

いかがでしたでしょうか?

私が支援している中小企業では、残念ながら5日間義務化を達成できないところもありました。今年度こそは、達成できるといいのですが。

従業員に任せきりだと5日間の義務化達成は難しいと思います。

・計画的付与の制度の有効利用

・責任者を任命して毎月取得状況の公表

・毎日見える位置のホワイトボードで取得日数を視覚化する

などの、何かしら「仕組み」をつくっていかないと達成は厳しいですね。

5日間の義務化をマイナスにとらえずに、業務の効率化や平準化の良い機会だとプラスに考え、是非「有給休暇取得率100%」を目指していきましょう。

そういった会社に人は集まってきますよ。