労基法に準拠した労働条件の設定に関するお悩み解決事例

■ご相談内容

これから補助金をねらって
いきたいと思っています。
 
現在、下記の労働条件で
働いている社員が1名
いますが、

補助金を申請するにあたって
法律的に問題があれば
ご教示ください。
 
<現在の労働条件>
 
・9:00-18:00(休憩1:00)
 実働8時間

・休日:日曜日、隔週土曜日※
 GW、年始など
 ※第1・3土曜日出勤

・基本給19万円

・変形労働時間制なし

■ご回答

結論から申し上げますと、
 
法定労働時間(週40時間)
が守れていないため、
労基法違反となります。
 
労基法では、原則として
休憩時間を除いて、

①1日8時間以内
②週40時間以内

というルールを守る必要が
ございます。
 

今回のケースでは、1日は
「9:00-18:00(休憩1:00)」
の「実働8時間」ですので、

①1日8時間以内

はクリアしています。
 
しかし、隔週土曜日の
ため、第1・3土曜日は
「週48時間」となり、
 
②週40時間以内
 
というルールが守られて
いません。
 
たまに、残業代は払って
いるからいいでしょ?
 
という社長さんも
いらっしゃいますが、

当然、残業代は必要ですが
そもそもシフトをつくる
段階において、
 
①1日8時間以内
②週40時間以内

を守る必要がある点に
注意が必要です。
 
 
毎週40時間を守るのが
難しい場合は、
 
「変形労働時間制」と
いう制度を利用して、
 
①1か月平均で週40時間
 以内とする「1か月単位
 の変形労働時間制」

②1年間平均で週40時間
 以内とする「1年単位
 の変形労働時間制」
 
という方法もあります。
 
 
今回のケースでも、
変形労働時間制の
検討はしましたが、
 
①は、そもそも難しい。
 
②は、GWや年末年始を
合わせても、年間105日※
は難しい

※1日実働8時間とするため
 には、原則「年間105日」
 が必要となります。
 
という結果となりました。
 

その後、休日を「年間87日」
まで増やして、1日の働く
時間を「実働7時間30分」
 
という条件への変更も検討
しましたが、
 
年間休日も増やすのが
厳しい状況でした。
 
 
そのため、最終的な
落としどころとして、
 
<変更後の労働条件>
 
・9:00-18:00(休憩1:00)
 実働8時間

・休日:土・日曜日その他
 会社が定める日
 (年間110日※)

 ※土日で年間104~105日
 GWや年始の数日合わせて
 年間110日

・基本給17万円
 固定残業手当2万円※
 ※月16時間分

・変形労働時間制なし
 
という労働条件に変更
いたしました。
 
 
変更点としては、
 
①休日を完全週休2日制
 にしたこと
 
※隔週土曜日は、休日出勤
 扱いとする
 
②月2回の休日出勤を、
 固定残業手当でカバー
 したこと
 
の2点です。

 
総額の19万円を変えずに
②の固定残業手当を採用
する点については、

ご本人にとって、不利益変更
となりますので、ご本人に
しっかりと趣旨などを説明し、
 
ご納得いただいてから、
労働条件を変更する必要が
ございます。
 

今回のケースでは、ご本人と
月2回の土曜日出勤も含めて、
基本給19万円です。
 
というお話しを口頭ベース
ですが、社長とご本人とで
合意されていた為に
 
基本給17万円
固定残業手当2万円※
※月16時間分
 
という労働条件の変更も
ご本人にとっては、まだ
理解がしやすいようです。
 
 
なお、固定残業手当の
計算方法としては、
 
・1日8時間
・年間休日110日
 
という労働条件ですと、
 
月平均所定労働時間
「170時間※」
 
※年間365日-年間休日
 110日×1日8時間
 ÷12か月
 
となるため、
 
基本給17万÷月170H
=時給1,000円
 
時給1,000円×1.25
=割増単価1,250円
 
1,250円×月16時間
=「20,000円」
 
 
となり、最終的に
 
基本給17万円
固定残業手当2万円※
※月16時間分
 
となりました。
 
 
■最後に

今回のケースでは、
タイムカードも
きちんと打刻され、
 
計算は間違って
いましたが、残業代
も支払っており、
 
きちんとやりたいと
いう素敵な社長さん
でした。
 
 
正しくやろうとしても
毎日忙しい中小企業の
社長にとって、
 
労基法をゆっくり勉強
する時間もなければ、
 
時間があっても複雑な
ため、理解するのは
大変です。
 
 
今回も良かれと思って
運用していたルールが
実は労基法違反だった
 
という残念なケース
でした。
 
 
今後も、社員を大切に
コンプライアンスも
しっかり守っていきたい
 
という経営者の方々の
ために、全力でサポート
していければと思います。 
 
■お客様情報

サービス業 1~50人規模