厚生労働省の助成金活用されていますか?
みなさんは、厚生労働省の助成金は活用されていますか?キャッシュフローが難しい中小企業にとって、助成金は大きな助けになってくれます。
こんにちは。はるか社労士事務所の代表・社会保険労務士の益永 治英です。
今回は、厚生労働省管轄の助成金の概要について解説していきます。
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そもそも助成金ってなに?
助成金は、主に厚生労働省が雇用、人材育成、両立支援などのために実施しています。返済不要の国からもらえるお金です。
補助金とは違うの?
補助金は、主に経済産業省、農林水産省、中小企業庁等の官公庁が実施しているもので、ほとんどが公募の形をとっています。返済不要なお金という点は同じですが、助成金と比べて、一般的に補助金のほうが短い募集期間で、受給できる数に制限があり、助成金に比べて獲得が難しいといわれます。
助成金の種類について
現在(2020年10月1日)、厚生労働省の雇用関係助成金の種類は大きくわけて下記の8つに分類されています。
- 雇用維持関係の助成金
- 再就職支援関係の助成金
- 転職・再就職拡大支援関係の助成金
- 雇入れ関係の助成金
- 雇用環境の整備関係等の助成金
- 仕事と家庭の両立支援関係等の助成金
- 人材開発関係の助成金
- その他
よく活用されている助成金は?
上記の8つの分類の中で、私のまわりの中小企業で比較的利用されている助成金としては、4.雇入れ関係の助成金、5.雇用環境の整備関係等の助成金、6.仕事と家庭の両立支援関係等の助成金、7.人材開発関係の助成金です。コロナ禍の影響で1.雇用維持関係の助成金の利用も多いです。簡単に紹介いたします。
1.雇用維持関係の助成金
休業、教育訓練や出向を通じて従業員の雇用を維持する事業主がもらえる「雇用調整助成金」という助成金です。
2008年のリーマンショックや2020年の今回のコロナ禍の影響で活用された方も多いのではないでしょうか?
4.雇入れ関係の助成金
種類がいくつかございますが、おもに下記の助成金が活用されています。
1.「特定求職者雇用開発助成金」
高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇い入れた場合にもらえます。
2.「トライアル雇用助成金」
就労経験のない方、安定した職業に就いてない方などを雇い入れた場合にもらえます。
5.雇用環境の整備関係等の助成金
こちらも種類が多いですが、下記の助成金が活用されています。
1.人材確保等支援助成金
評価・処遇制度や研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間制社員制度を整備したり、介護労働者や建設業労働者向けの労働環境の整備に対するものまでさまざまなコースが用意されています。
2.65歳超雇用推進助成金
65歳以上への定年引上げ等、高年齢者の雇用管理制度の整備、高年齢の有期契約労働者を無期雇用に転換した場合などにもらえます。
3.キャリアアップ助成金
有期契約労働者等(契約社員、パート、派遣社員など)に対して正社員転換、賃金改善、法定外の健康診断等を実施した場合にもらえます。
6.仕事と家庭の両立支援関係等の助成金
仕事と家庭の両立のために、下記の取り組みを実施した場合にもらえます。男性の育児休業等取得支援や円滑な育児休業取得・職場復帰などは取り組まれている事業主様も多いです。
- 男性の育児休業等取得推進
- 介護離職の防止
- 円滑な育児休業取得・職場復帰
- 育児・介護等を理由とする離職者の再雇用
- 300人以下の中小企業が女性が活躍しやすい職場環境を整備し、目標を達成
- 事業所内保育施設を設置・増設・運営
上記の他にも、新型コロナウイルスの感染拡大防止や母性健康管理措置のための休業を実施した場合にももらえるものが出ています。
助成金活用時の注意点
助成金は、必ずもらえるものではありません!
助成金は、申請期間や支給要件をひとつでも満たしていないと、血も涙もなく不支給となるケースもあります。何とかなりませんか?はまず通用しません。
労働環境は整備されていますか?
以前は、出勤簿も印鑑で助成金がもらえた時期もあったのですが・・・。これから助成金を申請される場合は、下記をご参考に労働環境が整備されているかご確認ください。
- 出勤簿やクラウド勤怠などで始業・終業時刻・休憩時間などの勤怠管理はしっかり実施している
- 残業代はきちんと支払っている。あるいは固定残業手当の範囲内で収まっており、超過しても追加で支払っている。
- 労働者名簿や雇用契約書などもきちんと作成している など
労働環境が整備されていない場合は、まずは顧問社労士などに相談のうえ、助成金をもらえる環境を整えていきましょう。従業員の採用や定着アップにもつながります。
さいごに
助成金は、支給要件を一つでも満たさないと不支給になったり、そもそも支給要件も急に変更になっていたりして、中小企業の皆様にとっては負担も大きいと思われます。
自社で申請が難しければ、是非専門家の社会保険労務士を活用するなどして、助成金を原資に労働環境の整備や生産性の向上に取り組んでいきましょう。