フレックスタイム制について
こんにちは。
はるか社労士事務所の代表の益永です。
本日は、フレックスタイム制について
ご質問を受けましたので解説していき
ます。
<フレックスタイム制とは?>
3か月以内の一定期間(清算期間)
について、あらかじめ定めた
総労働時間の範囲内で、
従業員が日々の始業・終業時刻
を自ら自由に決めることができる
制度です。
当事務所でも、完全フレックス
タイム制を採用して、自由な
時間帯で働いてもらっています。
<制度を導入するためには>
フレックスタイム制を導入
するためには、
(1)就業規則等への規定
(2)労使協定で必要事項を定める
の2点を満たす必要があります。
(1)の要件については、
就業規則その他これに準ずるもの
により、
始業及び終業時刻を労働者の決定に
委ねる旨を定める必要があります。
○就業規則の規定例
第○条(フレックスタイム制)
第○条の規定にかかわらず、●●部に
所属する従業員にフレックスタイム制
を適用する。
2 清算期間は1か月間とし、毎月1日を
起算日とする。
3 清算期間中に労働すべき総労働時間は、
1日8時間00分に当該期間の就業規則に
定める所定労働日数を乗じた時間とする。
4 標準となる1日の労働時間は、
8時間00分とする。
5 フレックスタイム制が適用される従業員
の始業・終業時刻については、従業員の
自主的決定に委ねるものとする。
ただし、従業員の自主的決定に委ねる
時間帯は、午前5時から午後10時00分
までとする。
(2)の要件については、
労使協定に以下の事項を定める必要が
あります。
①対象となる労働者の範囲
②清算期間
③清算期間における総労働時間
④標準となる1日の労働時間
⑤コアタイム(任意)
⑥フレキシブルタイム(任意)
⑤と⑥については、必ずしも
定める必要はありません。
<コアタイムとフレキシブルタイム>
コアタイムとは、従業員が1日の中で
必ず働かなければならない時間帯
のことです。
フレキシブルタイムとは、従業員が
自らの選択によって、労働時間を
決定することができる時間帯のことです。
当事務所でも深夜時間帯はやめようね
ということで、フレキシブルタイムを
5:00~22:00の間に設定しています。
どちらも必ずしも設けなくてもよい
のですが、
・コアタイムが1日の労働時間と同程度
・フレキシブルタイムが極端に短い
となってしまわないようにしましょう。
労働者が始業・終業時刻を自由に決定
するという裁量がなくなってしまい、
フレックスタイム制とはいえなくなって
しまいます。
<残業代の考え方>
フレックスタイム制の場合は、
時間外労働に関する取扱いが
通常とは異なります。
1日8時間・週40時間の法定労働時間
を超えても、ただちに時間外労働とは
なりません。
フレックスタイム制の場合は、
清算期間における実際の労働時間が
清算期間における法定労働時間の
総枠を超えた時間数が時間外労働
となります。
清算期間における総枠は
「週の法定労働時間×歴日数÷7日」
で計算できます。
例えば、清算期間の歴日数が
31日だった場合は、原則として、
「週40時間×31日÷7日=177.1時間」
という計算になります。
法定労働時間が週40時間の場合
の総枠は下記のとおりです。
歴日数31日・・・177.1時間
歴日数30日・・・171.4時間
歴日数29日・・・165.7時間
歴日数28日・・・160.0時間
となります。
なお、常時10人未満の商業、
映画・演劇業、保健衛生業、
接客娯楽業などの
特例措置対象事業所に
該当する場合は、週40時間を
週44時間として計算します。
<清算時間に対して不足だった場合>
清算期間における総労働時間
に対して、実際の労働時間が
不足した場合には、
①不足分の賃金を控除する
②不足時間を繰り越して、
次の清算期間の総労働時間
に合算する
という対応が可能です。
ただし、②の方法を選択
する場合は、
加算した後の清算時間の総労働時間
が法定労働時間の総枠の範囲内で
ある必要があります。
<フレックス制と変形労働時間制の違い>
変形労働時間制は、
原則1日8時間・週40時間の
法定労働時間を守れない場合などに、
一定期間(1か月・1年など)の期間で
週平均40時間になるように会社が
シフトを決めて運用する制度です。
フレックスタイム制は、
フレキシブルタイムやコアタイムを
任意で設定したうえで、あとは
従業員が自由に働く時間を決めて
運用する制度です。
両者の大きな違いは、労働する時間を
「会社が決めるか、本人が決めるか」
という点です。
<まとめ>
フレックスタイム制は、
当事務所でも採用しておりますが、
・子育てをしながら働いている
・通勤ラッシュが苦痛
・病院によってから出社、あるいは
出社した後に病院によって変える
など、個々の事情に応じて、
労働時間を効率的に配分する
ことが可能なため、
労働生産性の向上も期待できます。
業種や職種によっては、採用が難しい
とは思いますが、
運用が可能であれば、社員定着の
ためにも是非一度検討されても
よいと思います。