毎年の1か月平均所定労働時間の計算に関するお悩み解決事例
■ご相談内容
当社では、ここ数年の間、
割増賃金の計算に使用する
1か月平均所定労働時間を
「159.33」で計算して
きました。
<現在の労働条件>
・1日の所定労働時間:実働8時間
・休日:土日祝・夏季と年末年始
■お悩み事項
この1か月平均所定労働時間は、
毎年見直す必要があるので
しょうか?
■ご回答
結論から申し上げますと、
原則、毎年見直しをする
必要があります。
毎年、年間の所定労働日数が
固定されて、1日の実労働時間も
変更なければ見直しは不要です。
先に、1か月平均所定労働時間
の計算方法についてですが、
・1日の所定労働時間
・年間休日数(又は年間所定労働日数)
がわかれば計算できます。
<1か月平均所定労働時間の計算例>
・1日の所定労働時間:実働8時間
・年間休日数:125日
※年間365日とします。
年間365日-年間休日125日
=240日×1日8時間÷12か月
=「160時間」
というように計算します。
今回の会社の事例ですと、当時、
「年間126日」で計算されて
今まで使用しているようです。
年間365日ー年間休日126日
=239日×1日8時間÷12か月
=「159.33・・・時間」
なお、この1年間の起算日は
法的には決まっていないため、
会社で決めて構いません。
ただし、年によって異なる
扱いとならないように統一
しておきましょう。
賃金規程などに規定して
おくと混乱がないですね。
さて、この会社の事例では
ここ数年間「159.33」で
割増賃金を計算してきました。
これが法的に違法となるか
どうかですが、
ここ数年間の年間休日が
126日を超えていなければ
問題はないです。
なぜなら、年間休日が多い
ほど、割増賃金の単価は
上がるからです。
先ほど、年間126日の場合、
1か月平均所定労働時間は
「159.33時間」でした。
これが、年間127日の場合
年間365日ー年間休日127日
=238日×1日8時間÷12か月
=「158.66・・・時間」
となります。
基本給20万円の社員が、
月10時間残業すると、
①年間126日の場合
基本給20万円÷159.33時間
×1.25倍=1,569円×10時間
=残業代「15,690円」
②年間127日の場合
基本給20万円÷158.66時間
×1.25倍=1,576円×10時間
=残業代「15,760円」
という結果となり、
年間休日数が多いほうが、
残業代が多くなります。
そのため、今回の事例では
ここ数年間の年間休日が
126日を超えていなければ
ずっと社員有利で残業代を
計算してきているため、
法的には問題はないです。
■ワンポイント
他社の事例でも、毎年、
1か月平均所定労働時間
を計算したくない場合、
年間休日数が一番多くなる
ケースで1か月平均所定
労働時間を計算し、
それを毎年使用すること
をおすすめしています。
私のクライアント様の中では、
1か月平均所定労働時間数
「160時間」が多いですね。
これは、
・1日所定労働時間:8時間
・年間休日:125日
のケースです。
御社の1か月平均所定労働
時間数は正しく計算されて
いますか?
■お客様情報
マーケティング業 1~50人規模