2020年10月の社会保険適用拡大のお悩み解決事例
■ご相談内容
現在、下記の労働条件で働いている
パートさんがいます。
・時給1,000円
・1日実働7時間で週4日(週28時間)
・月所定労働日数17日以下
2022年10月からの社会保険適用拡大により、
上記のパートの方々が強制加入となるが、
ご本人が社会保険の加入を希望しない場合は
どのような労働条件にすれば良いか?
■問題点
2022年10月から従業員数※101人以上の企業
でも、社会保険適用拡大により、
下記の要件を満たすパート・アルバイトの
方々は社保加入が義務化となります。
※ここでいう従業員数とは、正社員と週所定
労働時間が正社員の3/4以上の従業員数です。
①週20時間以上
②月額88,000円以上
③2か月を超えて雇用される見込み
④学生ではない
ご本人が社会保険の加入を希望しない場合は
上記の強制加入の要件を満たさない働き方が
求められます。
■解決方法
社会保険の加入を希望されないパート
さんの働き方として、
③2か月を超えて雇用される見込み
④学生ではない
の要件を満たさないようにするのは、
学生以外は現実的に難しいので
①週20時間以上
②月額88,000円以上
のどちらかを満たさない働き方を考えます。
今回の事例では、
・1日の働く時間(実働7時間)を短く
されると現場が困る
・ぎりぎりの時間までは働かせて
あげたい
というご要望でしたので、
②月額88,000円以上
にならない労働条件にするという
方法で解決しました。
具体的には、
例①:時給1,000円のパートさん
「月12日」又は「月87.5時間」
以内のシフトで働いてもらう。
時給1,000円×1日実働7時間×月12日
=「84,000円」<月88,000円
例②:時給1,050円のパートさん
「月11日」又は「月83.5時間」
以内のシフトで働いてもらう。
時給1,050円×1日実働7時間×月11日
=「80,850円」<月88,000円未満
余談ですが、最低賃金に参入しない手当
として、下記の諸手当は月額88,000円
の金額から除外できます。
・精皆勤手当、通勤手当、家族手当
また、残業代や賞与なども対象外です。
■ワンポイント
パートさんご本人から社会保険加入を
希望しない場合、会社も社保の負担が
軽くなるからと、
本来、社会保険の加入要件を満たす
パートさんを「未加入」のままに
される企業も多いです。
ですが、お互いが合意していたとしても、
法律上、社会保険の強制加入の要件を
満たす場合は、加入させる必要があります。
たとえ、本人の意向に沿って良かれと
思って行った結果だとしても、
結局、悪者にされるのは会社側のほうです。
会社の対応としては、色々事情があるとは
思いますが、社会保険の加入を希望されない
パート・アルバイトの方々に対しては、
①社会保険に加入しなくても良い
労働条件で働いてもらう。
それが難しいようであれば、
②社会保険に加入をして働いてもらう
の2択でいきましょう。
仮に2年遡及して強制加入となった場合は、
過去の本人の個人負担分がかなりの金額となり
まとめて払ってもらうのは正直厳しいです。
私の過去の経験では、過去の個人負担分も
合わせて、会社のほうで負担になってしまう
ケースがほとんどです。
たとえ、従業員の方のためだとしても、
コンプライアンス違反をしてまで、
本人の希望を叶えてあげるのは
おすすめいたしません。
■お客様情報
卸売業 150~200人規模