健康保険の被扶養者の要件について

■ご相談内容

今度、退職する妻を配偶者にしたい
という社員がいるのですが、

健康保険の被扶養者の要件について
教えてください。

■ご回答

下記のご回答内容を動画でも解説
しておりますので、是非ご覧ください。
※10分以内で見れます。(8分17秒)

動画が見られない方は、下記を
ご覧ください。

健康保険の被扶養者の要件については、
下記の3つのポイントを押さえましょう。

(1)被扶養者の範囲
(2)収入要件
(3)手続きの添付書類

最初は、(1)被扶養者の範囲に
ついて。

被扶養者となれるのは
「三親等以内の親族」
となります。

配偶者は事実婚でも
大丈夫です。

また、親族によっては、
「同一の世帯の有無」
要件となります。

具体的には、

①被保険者の同居は不要

・配偶者
・子、孫および兄弟姉妹
・父母、祖父母などの直系尊属

②被保険者と同居が必要

上記①以外の3親等内の親族
※伯叔父母、甥姪とその配偶者等

となっております。

後は、75歳以上の方など
後期高齢者医療制度の被保険者は
被扶養者になれません。

続いて、(2)収入要件に
ついてです。

被保険者に生計維持されている
ことが必要となるため、被扶養者
の年間収入が基準となります。

年齢によって変わってきますが、

①60歳未満
 ・・・年収130万円未満

②60歳以上または障害者
 ・・・年収180万円未満

となります。

ここでいう年間収入とは、
過去の収入ではなく、

被扶養者に該当する時点および
認定日以降の年間見込み収入
となります。

また、もう一つ収入要件が
ありまして、

①同一の世帯の場合

被保険者の年収を上回らない
こと

②同一の世帯でない場合

被保険者からの援助による
収入額より少ないこと

という要件もありますので
ご注意ください。

最後に(3)手続きの
添付書類についてです。

被扶養者の

①続柄
②収入要件

のための確認書類となります。

①続柄の確認書類としては、

・被保険者と被扶養者の
 双方のマイナンバーと
 事業主の確認

があれば、原則として
添付書類は不要※です。

※被保険者の年収1000万円超
 または60日以上遡及の場合は
 添付書類が必要

マイナンバーがない場合は、
次のどちらかの書類が必要と
なります。

・被扶養者の「戸籍謄(抄)本」
・住民票の写し※

※被保険者が世帯主で、被扶養者
 と同一世帯である場合に限る

続いて、②収入要件の確認書類
ですが、ケースによって異なり
ます。

ア.退職者の場合

「退職証明書」または「雇用保険
被保険者離職票」の写し

イ.雇用保険失業給付受給中または
  受給終了の場合

「雇用保険受給資格者証」の写し

ウ.年金受給中の場合

「年金額の改定通知書」の写しなど

エ.自営業、不動産収入等が
 ある場合※

直近の「確定申告書」の写し

※自営業者についての収入額は、
 当該事業遂行のための必要経費
 を控除した額となります。

オ.上記イ~エ以外に他の収入が
 ある場合

上記イ~エに応じた書類
課税(非課税)証明書

カ.上記ア~オ以外の場合

課税(非課税)証明書

となっております。

今回の相談事例では、

・双方のマイナンバーの有無
・所得税法上の控除対象配偶者
 の該当の有無

を確認すれば、添付書類の
必要の有無が判断できそう
ですね。

■最後に

今回は、協会けんぽの扶養要件
を基準に解説いたしました。

健康保険組合などのケースでは

・直近3か月分の給与明細の写し
・雇用契約書の写し

などを求められる場合もございます
のでご注意ください。

■お客様情報

建設業 1~50人規模