試用期間での本採用拒否に関するお悩み解決事例
■ご相談内容
試用期間中の従業員を本採用拒否
したいと考えています。
当社は試用期間「6か月」ですが、
現在5月目に入ったところです。
本採用拒否の理由としては、
本人の能力不足です。
何度か面談なども実施しましたが
改善されませんでした。
試用期間満了による本採用拒否
について、気をつける事など
ございますか?
■ご回答
本採用拒否とは、試用期間中の
従業員について、雇用を終了し
本採用をしないことを言います。
この本採用拒否に関する注意点
としては、大きく分けて下記の
2点です。
①合理的理由かどうか?
②30日前の解雇予告が必要
①の合理的理由ですが、
試用期間での本採用拒否は、
留保された解約権の行使といわれ
「解雇」と同じ扱いとなります。
そのため、就業規則等において
定められた解雇事由のいずれか
に該当し、
(1)客観的に合理的な理由
(2)社会通念上相当である
という条件が必要となります。
ただし、通常の解雇よりは、
広い範囲で解雇の自由が
認められています。
今回のケースでは、能力不足
という事ですので、慎重な判断
が必要です。
ご相談頂いた企業は、しっかり
教育も実施され、改善点の指導
や面談も実施されていました。
これがなかなかできない、
中小企業が多いかと思います。
せっかくご縁があって入社
された従業員の方ですので
すぐに能力不足と判断せず、
しっかり教育や指導、何か
強みを発揮できないか?
など検討もしてほしいです。
②の30日前の解雇予告について
ですが、
本採用拒否の場合も、30日
前の解雇予告は必要です。
事前に予告が難しい場合は
30日分の解雇予告手当が
必要となります。
今回のケースでは、試用期間
6か月間の中で、5月目に入った
ところですので、
1か月前の解雇予告にはまだ
間に合うケースでした。
試用期間だからといって、
理由もなく本採用拒否は
できません。
今回ご紹介した
①合理的理由かどうか?
②30日前の解雇予告が必要
の2点はしっかり確認してください。
なお、本採用拒否をした場合は、
離職票は原則「会社都合」
となります。
■最後に
一方的に本採用拒否をすると
後々トラブルとなる場合も
あります。
その場合、ご本人に「退職勧奨」
を行って合意退職とするケース
もあります。
ただし、2~3か月分の給与など
を解決金として支払うケースが
多いです。
■お客様情報
卸売業 1~50人規模