飲食店でよくある労基法違反の解決事例

■ご相談内容

40年居酒屋を経営してきたが、今いる正社員
に店舗を譲りたいと考えている。

法律的に問題ないかたちで譲りたいが、
現在の労働条件は特に問題ないでしょうか?

<現在の労働条件>

①月、水、木、祝日
・11:30~22:00(休憩2:30)実働8時間

②金、土、祝前日
・11:30~22:30(休憩2:30)実働8時間30分

③日曜日:
・11:30~21:00(休憩2:30)実働7時間

休日は毎週火曜日と月1回の日曜日

■問題点

まず、最初に目につくのが

1日実働8時間を超えるシフトがある
休日が少ないので、変形労働時間制を
 採用してもこのままだと厳しい

という点です。

労基法上、原則として法定労働時間※を守る
必要があります。
※原則:1日8時間・週40時間

今回のケースですと、どちらも違反してしまいます。

①11:30~22:30(休憩2:30)実働8時間30分
 ⇒ 1日8時間の法定労働時間を超える

②原則、週1回(火曜日)休みで、シフトの時間を
 組み合わせると、週48時間
 ⇒ 週40時間の法定労働時間を超える。

■解決方法

飲食店の場合は、月の所定休日が少ない
ケースが多く、法定労働時間を守るために

「1か月単位の変形労働時間制」を採用する
ことが多いです。

今回も「1か月単位の変形労働時間制」を
提案するとともに、

・1日休日を増やして「月6日休み」とする。

・1日の実働時間を「7時間」で統一する

 とともに、早番、遅番で1時間ずらした
 シフトのパターンをつくる
 ※足りない分は早出や残業をお願いする

という方法で、法定労働時間を守れる制度を
ご提案いたしました。

<変更前の労働条件>

①月、水、木、祝日
・11:30~22:00(休憩2:30)実働8時間

②金、土、祝前日
・11:30~22:30(休憩2:30)実働8時間30分

③日曜日:
・11:30~21:00(休憩2:30)実働7時間

休日は毎週火曜日と月1回の日曜日

<変更後の労働条件>

①月、水、木、祝日
・早番 11:30~21:00(休憩2:30)実働7時間
・遅番 12:30~22:00(休憩2:30)実働7時間

②金、土、祝前日
・早番 11:30~21:00(休憩2:30)実働7時間
・遅番 13:00~22:30(休憩2:30)実働7時間

③日曜日:
・11:30~21:00(休憩2:30)実働7時間

休日は月6日
(毎週火曜日とシフトにより月2回)

1か月単位の変形労働時間制を採用するには、
就業規則か労使協定への規定も必要なため、

今回は、就業規則をご提案し、雇用契約書も
しっかり整備することでアドバイスさせて
頂きました。

■ワンポイント

飲食店でランチとディナーがある場合、
拘束時間が長いため、知らずに法定労働時間
に違反しているケースが多いです。

また、退職者から未払い残業代を請求された
事案でご相談を受けるケースでも、飲食店の
比率は高いです。

特に、店長を管理監督者扱いでやられている
飲食店は、気を付けてください。

最後に、40年居酒屋を経営されるだけでも
素晴らしい社長でしたが、社長から正社員の
方へバトンタッチすると、

今まで労働条件に疑問や不満をかかえていた
社員やパートさんが急に声をあげられるケース
も多いため、しっかり整備してあげてから
譲ってあげましょうということで終了しました。

せっかく一緒に働いてきた社員から、突然、
弁護士先生経由で未払い残業代に関する通知が
くるのは、ほんとに辛いですよね。

そうならないためにも、早めに労務トラブルの
防止対策は行っていきましょう。

今は、労基法違反だらけでも、これから職場を
良くしていきたいとお考えの経営者の方には
全力でサポートさせていただきます。

■お客様情報

居酒屋 10~20人規模