最低賃金に関するお悩み解決事例
■ご相談内容
自社で最低賃金を下回っている社員が
いないかどうかチェックをしようと
検討しています。
チェックするにあたって、何か注意
すべき点などあれば教えてください。
■ご回答
下記の点についてはポイントを
おさえておきましょう。
①最低賃金確認の計算方法
②最低賃金の対象外となる手当
③固定残業手当の落とし穴
④支店や営業所が別の都道府県
⑤派遣社員のケース
まずは、①の計算方法からです。
時給制や月給制など給与形態に
よって変わってきます。
①時給の場合
時間給 ≧ 最低賃金額
②日給制の場合
日給 ÷ 1日の所定労働時間
≧ 最低賃金額
例:日給8,000円÷1日所定労働
時間8時間=時給1,000円
③月給制の場合
月給 ÷ 1か月平均所定労働時間
≧ 最低賃金
例:月給173,000円÷1か月平均所定
労働時間173時間=時給1,000円
④出来高払制その他の請負制(以下
「歩合給」といいます)の場合
歩合給 ÷ 総労働時間 ≧ 最低賃金
例:歩合給20万円÷月の総労働時間
200時間=時給1,000円
基本給が②日給で、手当が③月給など
のケースの場合は、
それぞれ上記の②と③の計算式により
時間額に換算して、合計したものと
最低賃金額を比較します。
続いて、②最低賃金の対象外
となる手当については、
下記のとおりです。
①精皆勤手当
②通勤手当
③家族手当
④固定残業手当
上記の手当以外としては、
賞与や割増賃金も対象外
となります。
ポイントとしては、住宅手当は
最低賃金の対象となる点です。
割増賃金の算定基礎から住宅手当
は除外されるため、
最低賃金の対象からも除外される
と勘違いされるケースも多いです。
次に、③固定残業手当の落とし穴
についてです。
固定残業手当や定額残業手当など
名称は会社によって違いますが、
毎月一定時間(例:月30時間分)
など定額で割増賃金分を支払って
いる会社などは、
総額の金額でみれば最低賃金以上
支払っているように見えても、
実は最低賃金を下回っていたと
いうケースも過去にありました。
固定残業手当は、割増賃金と同じ
取り扱いですから、最低賃金の
対象には含まれませんので、
固定残業手当を除外して、
最低賃金を上回っているか
確認することに注意が必要です。
次に、④支店や営業所が別の
都道府県にある場合について。
同じ会社の支店や営業所が
別々の都道府県にある場合、
原則として、それぞれの事業所
がある地域の最低賃金が適用
されますのでご注意ください。
給与計算を本社が一括して
いる場合はどうですか?
といったご質問を頂くことも
ありますが、関係ないです。
あくまで事業所の所在地の
最低賃金が適用されますので
注意しましょう。
最後に、⑤派遣社員のケース
ですが、
派遣労働者の場合は「派遣先」
の事業場に適用される最低賃金
が適用されます。
そのため、例えば東京、埼玉、
千葉などが主な派遣先となって
いる場合、
東京、埼玉、千葉の最低賃金も
しっかり把握しておく必要が
あります。
■最後に
最低賃金が毎年10月頃に
改定となります。
経営者にとっては頭が
痛い時期かと思いますが、
毎年、最低賃金を気にする
必要がないように、
高収益高賃金の企業を一緒に
目指していきましょう。
■お客様情報
サービス業 100~150人規模